2nd Engineer

Don’t you see! / ZARD

[showTitle JBDJ-1023]
泉水さんのヴォーカルと絡み合う、畳み掛けるように変化を魅せるアレンジ、そしてエンジニアリングの極みの作品

【Haruka’s Voice】

レコーディング技術の粋を集めて作り上げた作品

この曲の仕事は、本当に大変だったという記憶があります。また、これで私は一皮むけたという自信を持つことができました。半年以上、たった1曲を作り上げる為に毎日仕事をしていた様なものです。

これ、実はものすごくたくさんの別のアレンジがあります。(ZARDはたくさんのアレンジを作りますが、これをきっかけにさらに増えて行った様な気がします。)何人ものアレンジャーさんのいくつもの別バージョンがあります。それでも納得いくものが出来なかったので、最終的にはそのいくつかのアレンジをくっつけて一つにしてしまっています。

表向きにはアレンジャーは葉山たけしさん(大黒摩季さんのプロデューサなどでも有名)なんですが、葉山さんが製品になったCDの音を聴いた時に言った、「これ、俺のアレンジじゃないよ~」という言葉が忘れられません。

編集(EDIT)で音楽を作り上げることの是非はあると思います。私も当時は”これはちょっとやり過ぎではないか”と思っていました。しかし、過去そういうのが無かった訳じゃありません。有名どころではビートルズです。中期以降はレコーディングでしか出来ない(ライブで再現することは難しい)事をたくさんやっています。編集で作り上げた物も結構あります。スティングなんかも、”Englishman in New York”では思い切った編集をしていますね。(間奏のドラムは後でくっつけた。良く聴けば分かります。)ちなみに普通、ヴォーカルトラックは編集しまくりです。(クラッシック系の録音であっても、テープ編集してくっつけている事が結構あるんですよ。)

いまでこそ、コンピュータ上でいろんな所から音をかき集めてきてEDITするのは比較的簡単ですが、当時はまだテープを使っていましたから(デジタルではありましたが)、編集作業ってのはとっても骨が折れます。この作業をやっていると、「俺は音楽をつくっているのか、物をつくっているのか分からなくなる」という事になります。切り貼り、パズル、そんな感じですね。

そんな仕事の中で私は叩かれ磨かれ、成長したと思います。ようやく、普通に泉水さんとも話が出来るようになった時だったでしょう。

そんなわけで、レコーディング技術の粋を集めて作り上げた曲ですから、ZARDの中では必聴の一曲です。

TVヴァージョンについて-追記

「TVヴァージョン(ドラゴンボールGTエンディング)は明石昌夫さんの編曲だというのは本当ですか?」という質問を頂きました。正直言いますと、この”Don’t you See!”はたくさんのアレンジがありすぎて、よく覚えていないんです(^ ^);。なのでYou Tubeで確認してみました。ここにアップされていたものを聞いた限りでは、これは葉山さんアレンジだと思います(確証はありませんが)。明石さんアレンジの物があってもおかしく無いですね。