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オーケストラ曲の作り方

忙しさ・体調不良などで順延していましたが、27の物語(登録者限定の特別曲集)の新曲が出来上がり、配信の運びとなりました。今回の作品は、このところ興味が向いているオーケストラ曲を作ることに。オーケストラの曲をどうやって一人で作るのか?不思議に思う方もいらっしゃるかも。そこでちょっとだけその作業内容を公開してみようと思います。(プロフェッショナル向けの情報はありません。)

作曲自体は、私はちゃんとしたクラシック音楽教育を受けたわけではなく、天才でもないので、譜面だけで書いていくようなことは出来ません(そもそも譜面はあまり好きではない)。オーケストラ曲を書くには楽器の特性や音楽理論(楽典)の知識がないと書けないとも言われていましたが、現代はそれなりの道具(コンピュータのアプリケーション)があるわけです。それを便利に利用させてもらっています。

あまり細かいことを書いてもなんなので、ざっくりと。(もしリクエストがあれば、いずれもう少し突っ込んで書いてみますけれど。)

まずはピアノをポロポロ弾きながら、大体のメロディや方向性などを頭に描きます。ピアノの音を聴きながらも、頭でいろんな楽器の音が鳴っているイメージを描くということでしょうか。たいていこの段階(数十分から1時間程度)で曲は80%くらい完成していると言っていいでしょう。後はそれをいわゆる「打ち込み」で、コンピュータに記録し肉付けして形にしていくだけです。(以降、「録音」と書くことはイコール「データが記録される」ということです。)

こんな画面です

順序が決まっているわけではありませんが…。
まずはガイドとなるピアノの演奏を録音し、それに合わせて弦楽器や管楽器・打楽器を鍵盤で手弾きで録音していきます。(ガイドのピアノは最終的には削除。)

それぞれの楽器の特性や表現方法を考慮しつつ、データ上でハーモニーを組み替えていきます。

特に弦楽器はバイオリン2種・ビオラ・チェロ・コントラバスと基本的に5パートの音が鳴っているし、かつ広い音域で鳴っていますので人間の手で弾くには数(指の長さ?)が足りません!なので、弾ける範囲で録音して、あとで組み替えることをしています。さらには、本物の演奏で実現できるかどうかも加味しながら音を整理していきます。その後、それぞれのパートの楽器音にばらしてバランスを整えます。

他の楽器についても、頭で鳴り始めたらすぐに入れてみて、またバランスを整えていきます(ここでのバランスというのは、音量等ではなくフレーズやハーモニーのバランスです)。

ここまでがいわゆる「コンポーズ(作曲)」と「アレンジ(編曲)」でしょうね。

こうして大体の形が見えてきたら、今度はそれぞれの楽器(パート)をあたかも自分が演奏しているかのように表現を付けていきます。最終的な「聴ける音楽の形」にする作業に入っていくわけですね。音量だったりビブラートだったりポルタメント(滑らかに音程を変える)だったりします。オーケストラの場合、数十のパートがあることがあります。今回の「Over The Hills」でも20以上のパートで成り立っていますので、それら全ての表現を付けなければなりません。(画像中、上が音符、下が付けた表現。曲は左から右に流れる。音符はこのようにグラフィカルに描かれる。)

音量変化を線で描いていきます
こちらはビブラートなど
ときにはこうして一瞬のポルタメント
ミキサーの画面。
この曲はオーケストラ曲なので凝ったミキシング(サウンドメイク)はあまりしませんが。

そして、こうして出来上がった曲の全体像を更に聴きやすく表現を高めるために、「ミックス」(トラックダウン)という作業をします。再生環境、周波数特性、音楽表現などサウンド的に様々考慮しながら「作品レベルに上げる」作業をします。
ミックスして出来上がったものをステレオに落として(録音して)ようやく完成です。(本当はミックスのあとにマスタリングという作業が入りますが割愛します。)

まあ、根気と時間がなければ出来ない作業ですね。一つ一つやっていることは単純ですが、それがいくつも合わさってくるわけですので、その相互関係のバランスを取るのが大変なわけです。

ここまでの全ての作業に一つも「生楽器の音」はありません。全てデジタル領域でコンピュータの内部で作られています。(一部アナログ電気回線は通りますが…。)つまり、バーチャルです。虚構です…。

つまり、これはコンピュータや音源の進化により出来るようになった事だとも言えるのです。ちょっと昔だったらこれだけ根気と時間を費やしてもこの完成度には至らなかったですから。不可能でした。(そもそも生オーケストラを使えるような財力や地位は無い!)今私はその恩恵にあやかって、こうして一人でオーケストラの曲を書けるようになったのです。(本物のオーケストラで再現出来るのかどうかはわかりませんけれど。あくまでもシミュレーションですからね。)

あ、それから悲しい自己弁護ですが…。
機械に頼ってばかりで作曲しているわけではないです。むしろ、全然アナログ人間的だと思います。それに多少は勉強してきていますしね。機械が勝手に演奏しているわけではないです。(きっと近い将来、人工知能がそれをやってのけると思いますが…。実際にあるみたいですしね、ヒット曲を作るAIが…。)

■後記

これを書いている今日、2017年10月18日です。我が富良野市東布礼別に初雪到来!
今年はかねてからの念願だったロケットストーブを自作しています。『最先端の昔の暮らし』にどんどん向かっています。これも私がやりたかったことの一つだったのを思い出したのでv(^ ^)v

あ~それから…。「27の物語」では、多分、オーケストラ曲はもう書きません。なんせ時間がかかるので月1曲は難しいですから(^ ^);
オーケストラメインのアルバムを作る予定でいますので(いつ出来るかわかりませんが(泣))、あとはそちらをお待ち下さい。

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