2nd Engineer

永遠 / ZARD

[showTitle JBCJ-1021]
前作よりも肩の力が抜けた、ライトに聴きやすいアルバム
ZARDの最高のアルバムと言えるかもしれない

【Haruka’s Voice】

涙と共に

大変個人的なことですが…。

最後までこのアルバムを仕上げる所まで一緒に仕事をしていません。(制作途中で私は退社しました。)

ですが、私にとってとても忘れられない曲たちが納められているアルバムです。

携わった曲はもとより、詞をつけた時などにちょこっと参加した曲なども忘れられません。

私が、会社をやめてL.A.に挑戦に行くという(無謀な!)事を坂井泉水さんが知ってからちょっとたったときでした。前日のレコーディングが朝方終わり、自宅に帰って寝ていた私の所に会社から電話が入りました。

「よっし~、坂井さんが待ってるよ。」(”よっし~”というのは当時のニックネーム)

急いで会社に向かいました。泉水さんが近くの喫茶店で待っていてくれたのです。そこで私は初めて二人だけで会いました。

「よっし~とはこれからも一緒にやって行きたかったよ。でもね、あなたの事を思えば、もっと荒れた海へ送り出してあげるべきだと思ったの。引き止めれば、いつか私も後悔する日が来ると思うから。」

泉水さんは、涙を流してくれました。

その後の仕事場では、泉水さんが手の平を返したように優しい言葉をかけてくれました。泉水さん自身も「手のひらを返したようで気味が悪いだろうけれど(笑)」て言ってましたから。

「Never give up!で頑張って。でも、疲れたら戻ってきてね。今度はミキサーとしてね。」

その言葉を最後に、永遠に再会することが出来なくなってしまいました。

「負けないで」といえば、ZARDの中でも最も名曲の一つですからご存知の方も多いかも知れません。某チャリティーTV番組で毎年8月終わりになると聴きますね。その言葉を、私一人の為に言ってくれた様な物でした。本人から私の為だけに言ってくれた言葉。忘れられるはずはありません。

その他にも泉水さんから頂いた言葉が、このアルバムの中にいくつかあります。たんなる偶然だと思いますが、でも、私にとってはとても重い意味を持っているのです。(自意識過剰ですね。)

ですから、このアルバムを聴くと、やはり自然に涙が出てきます。作品云々じゃなくて、自分の運命に、人生に、だと思います。良くも悪くも、私はこの会社でZARDに携わった事で人生に重みが増しました。最高の気持ちを持つ事も出来ましたが、後に最悪の時期を迎える事にもつながったようです。

そして、今でも私はこの思い出を忘れる事は出来ていませんから、この過去に縛られているんでしょう。まだ気付くべき事がたくさんあり昇華できていないのでしょう。でも少なくとも、『Never give up!』で死ぬまで諦めないようにしたいものです。