豆知識・豆コラム
「音楽とは何か? 〜その2〜」
音楽の三要素と言われる「リズム・メロディ・ハーモニー」。
- リズムとは:時間推移とともに現れる、強弱の変化(波)
- メロディとは:時間推移とともに現れる、音の高さ・長さの変化(波)
- ハーモニーとは:ある音とある音が同時に鳴っている場合に、その相関関係を感じる「人間の能力」
と前回挙げてみました。
リズムとメロディについて(の付加説明)は前回を参照していただくとして…。
では、ハーモニーはというと…。
これってより人間の能力に寄り添った定義なんだと思うんです。科学的というよりは、人間の能力的といいますか。
科学的には、ある音とある音が同時に鳴っている場合の相関関係といえば、周波数の違い、音量の違い…その程度に集約されてしまいそうです。しかし、人間は「周波数の比が、整っているか否か」を感知することが出来るという能力を持っています。
たとえば、αとβという音(シンプルなサイン波だとします)が同じ周波数で鳴っているとします。βの周波数をゆっくり上げていきましょう。すると、数ヘルツ離れただけで人間は「2つの音が鳴っている」と感知することが出来ます。さらに上げていくと、いくつかのポイントで「調和が取れている」「だから心地よい」と感じます。そのとき、βの周波数はαの周波数の整数倍になっているのです!整数倍になっていない場合、不快だとも感じるのです。「不調和」「濁っている」と。すごいですね、機械でもないのに分かるんですよ、人間って。
実例をつくってみました。(厳密なサイン波での実験では無いですが、なんとなく意味はわかってもらえるかと思います。)
つまり、この「調和が取れていて心地よい」というポイントが「ハーモニー」の基になるわけです。ハーモニーは、複数の音が鳴っていて、かつ人間が「心地よい」と感知できて初めて存在できるのです。
音楽を起源まで遡っていくと、おそらく最初の音楽は「歌声」だったでしょう。一人の声は通常一つの音程しか出せませんから(複数出せる人も居ますけれど)、ハーモニーは存在しなかった。
西洋音楽の発展を見てみると面白いです。中世15世紀ころまではキリスト教の影響で「グレゴリオ聖歌」という音楽がありました(今でもありますが)。これは、単一のメロディを独唱・斎唱する音楽です。ハーモニーはありません。
次第に、この単一のメロディに対してもう一つメロディを重ねる音楽が発生してきます。きっと、「同時に音が複数鳴ると、心地よいポイントがあるよね〜」なんてことを感じて、メロディを重ねることを思いついたんだと思います。ここから、”意識的”にハーモニーが存在しはじめたのだろうと思います。
その後、楽器や楽譜の発展と共に急速に複雑化(と理論のまとめ上げ?)が進んで、バッハが音楽の基礎を作り上げるに至ったのでしょう。(学術的、歴史的なことはかなり端折ってます。あくまでも私の拙い見解と捉えて頂きたい(^ ^);)
別の捉え方をするならば、人間の頭脳があったからこそハーモニーは存在できたと言えるかもしれません。動物は鳴き声で「リズム」や「メロディ」と言えなくもないものは生み出していますが、ハーモニーを生み出してはいないでしょう。
リズムは”より本能的”、ハーモニーは”より理性的”ということではないかと私は考えます。
さて、前回の実験の続きです。
今回は、前回の復習的に「リズム」と「メロディ」にしてみますか。
元のモールス信号はこれ
「I Love You」のモールス信号、これからどうリズムを感じるかは、人によって変わってくると思いますが、私が感じたのはこんな感じでした。単純な周期(小節)に当てはめるために、少々最初に無メロディ部分をとりました。頭のカウントとテンポのガイド音が入っています。
このリズムをドラムで演奏してみましょう。(音が豊かになると、ちょっとだけ音楽に聴こえてきますね。)
今度は、音程を適当に付けてみましょう。あえて音の長さには手を付けないでおきます。
これを、ピアノの音で演奏してみましょう。なんとなく音楽っぽく聴こえてきました。
ドラムとピアノを一緒に流してみます。
飛躍してしまいますが…もっと手を加えてみましょう。
さらに繰り返し、他の楽器の演奏も強引に入れてみます(^ ^);
なんとまあ、明るくおもちゃみたいな曲でしょー(笑)