27 Stories

音楽で綴る、全27話のストーリー

-第13話-

Lost Mind

~ Prelude ~

豆知識・豆コラム

「音楽とは何か? 〜その3〜」

前回は…

  • 音楽の三要素「メロディ」「リズム」「ハーモニー」のなかで、ハーモニーだけは人間の能力に寄り添った定義。
  • ハーモニーを科学的に検証するために「サイン波」での実験を交えての説明。
  • 人間は「複数の音が鳴っていて、その周波数の比が、整っているか否か」を感知することが出来る。
  • その調和が取れているポイントがハーモニーの基になる。

でした。

でもこれはシンプルなサイン波での話で、あくまでも「実験室」的な話です。(これ、詳しく書き出すと科学論文的になってしまうのでやめますが。)

普通は、シンプルなサイン波だけが存在するなんてことはありませんよね。ましてやそれが「心地いいい音だ、音楽だ」なんて思いませんね。

例えばピアノの「ド」の音を弾いたとき、人間はそれを”一つの音(波)”と認識していますが、実際には複数の波が複雑に絡み合い、小さなハーモニーを複数内在しています。

さらにこれに、別の複雑な波である「ソ」などが鳴ると、ドとソが調和して聞こえます。つまり、より大きなハーモニーが存在しはじめます。

また別の音がなれば、より大きなハーモニーが複雑に組み合わさり、さらにそこに時間経過に伴うより大きな動き(波)になると、それを人は音楽として感じる。


別の見方をすれば、リズム(時間軸上にに現れる音の列)だって波だし、メロディ(音の高低差や長さの変化)だって波です。

波だらけ!(笑)


「曲」を単位として考えてみます。

1曲の中に含まれる大きな塊の波(例えば1番・2番・間奏・3番など)があり、そこには部分的な小さな波(Aメロ・Bメロ・サビなどや、その中の小さなフレーズ)があり、フレーズを構成しているその細部をには様々な音が集合しており、その一つの音に複雑に波が集合している、ということです。

さらに視点を広げてみましょう。例えばCDの「アルバム」(コンサートでも、自分の好きな曲を集めたプレイリストでもいいです)を考えると、その中にはいろんな曲が含まれています。全く同じ曲が含まれたアルバムというのはつまらないですよね。アルバムという区切り(単位)の中に、違いのあるものが含まれている、言い換えれば、「波」があります。

波があるから楽しめる。

波だらけ!2(笑)

そう、音楽とはなんぞやを説明するには、「波」が欠かせないのです。


次回は、私なりの音楽の定義である「その波と、人間の本能や情動との関連の想像(平たい言葉で言えば「心との結びつき」)である。」について、くだらない論説を書いてみようかと思っています。


さて、「モールス信号から音楽へ」実験の続きです。

元のモールス信号はこれ

前回は最後にいろんな楽器を入れた曲らしい曲にしてしまいましたが、今回の実験をわかりやすくするために単純な音を使い、ゆっくりのテンポでやってみます。

単純に、いわゆる「ハモる」音程を加えていきましょう。次の例は、メロディの最初の音に対して3度下と言われる音を追加したものです。周波数比では、5:4になり、比が比較的単純で、協和(調和)した音どうしです。最初に聞こえるのが「メロディの最初の音」。そして次に聞こえるのがその3度下の音を付け加えた場合です。

調和して聞こえますね。いわゆる”協和音”です。


さてさて。

じゃあこのまますべてのメロの音に3度下の音を付け加えていきます。どうなるでしょう?

まず最初に元のメロを全部聴いてみます。

次に、もう一度上でやったハモった音を聴いてみましょう。メロディの最初の音をハモった音です。

なんか気持ち悪くないですか?さっきは調和して聞こえたはず…。

でもって、すべてのメロの音に3度下の音にしたメロディがこうなります。

これだけ聴くと、最初は違和感あるけれどそのうち元のメロと同じように聞こえます。ちょっと低くなっただけと感じます。

では元のメロディに、このハモっている(はず)のメロを入れてみました。

とっても気持ち悪い(笑)。


そうなんです。不思議ですよね。(そう思いません?)
ハーモニーは何処へ???調和が取れていたんじゃ????


人間は、なぜかあるメロディーの流れが自然だと感じて聴いた場合、そこには一種の場が脳内に出来上がります。音楽用語では調性(スケール、あるいはキー)と言われています。

調性を説明するには音程の話を避けては通れません。でもって音程の話をしだすと、かなり長くなるので割愛します。(私自身完全な理解はできていないですから。)


ということで、調性の元でおおむね「3度下」でハモっている音を付け加えたのがこれです。

ハーモニーらしいですね。

ということは、ハーモニーというのは”単に周波数比が整っていればいい”とは言えそうにないですね。曲という流れの中では(西洋音楽的には、ですが)、調性があってこそのハーモニーの存在になるということです。

さらに言えば、実は通常聴いている音楽の「音階」は単純な周波数比にはなってないんです。微妙にずれているんです。今までの論説がぶち壊されてしまいますが。でも、そちらのほうが何かと便利なので、それがほとんど当たり前になっているんです。

う〜ん、難しい&奥が深いですね。音楽って。

科学では単純に説明できない、人間の曖昧さが大いに関係しているからこそ音楽はある。そういう事かもしれないです。

もっと実験を積み重ねてみたいところですが、この続きはいつか開校するかもしれない「Yossy 音楽の学校」で。科学と人間の曖昧な能力とが合わさった場所にある「音楽」というものを知ることができるかもしれません!大げさですか(^ ^);

いやいや、単純に、面白いんですよ、音楽って。

強引なまとめになりました(^ ^);

ここまで読んでくださった方、長々とよくわからない説明にお付き合いくださいまして、ありがとうございました。

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Music has to evolve. Humans also have to evolve.

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